YUKI皮フ科形成外科

腋臭症(ワキガ)・多汗症

腋臭症多汗症の治療にはオーバーラップする部分が多いため、まとめて説明します。

①保存的治療

 

保存的治療としては外用剤を塗布することにより、汗腺を塞いで汗を抑えたり(塩化アルミニウム液)、神経伝達物質の受容体をブロックすることによりエクリン汗腺からの汗の分泌を抑える(エクロックゲル、ラピフォートワイプ)方法があります。

またボツリヌス注射を行い、神経終末におけるアセチルコリンという神経伝達物質の放出を抑制し、交感神経の伝達を遮断することにより、エクリン汗腺からの汗の分泌を抑えることができます。アポクリン汗腺はアドレナリン作動性であるため、直接的にボツリヌス注射が作用はしませんが、相対的にエクリン汗腺からの発汗量が減少し、蒸れなくなることにより臭いの減少につながると考えられています。ボツリヌス注射の効果は約半年です。(継続的に注射を行い、発汗を抑制していると汗腺が萎縮し、注射をやめた後も発汗量の減少がある程度継続しているとの報告もあります)

直接的ではないですが、脱毛も汗による蒸れを軽減することで、細菌の繁殖を抑え、臭いの減少につながるのではと示唆されています。

②マイクロ波治療(ミラドライ) 詳細はこちら

 

皮膚を切らずに「腋臭症」・「多汗症治療」が可能な機器であるミラドライを用いた治療です。
マイクロ波(電磁波)を利用して汗腺にある水分をターゲットとしてニオイの原因になるアポクリン腺・汗を出すエクリン腺の2種類の汗腺を破壊します。失われた汗腺の機能は復活しないため長期的な作用をもたらします。下記の外科的治療と比べて、術後の日常制限がないこと・合併症のリスクが低い・傷痕ができないことがメリットになります。また「腋臭症」・「多汗症」のどちらも治療対象になるのも長所です。また汗腺を破壊する際に毛根も一部同時に破壊するため減毛にもなります。


③外科的治療

 

外科的治療としては、脇の皮膚のシワに沿って切開を入れ、皮膚を裏返して、はさみでアポクリン汗腺を切除していく剪除法(皮弁法)が一般的です。これは主にアポクリン腺が原因である「腋臭症」に対して行われる治療です。なぜならエクリン腺アポクリン腺よりもさらに浅い部分に存在するため、この手術でエクリン腺まで全て除去しようとすると、皮膚がとても薄くなり、皮膚壊死のリスクが高まります。手術の際にアポクリン腺のみでなく、エクリン腺も部分的に除去はされるので発汗量は相対的に減少しますが、一番の目的は ”臭いを減らすこと”です。


脇は圧迫が難しく、安静度をしっかりと守らないと、術後に出血による血腫形成やそれに伴う皮膚壊死のリスクがとても高いです。そのため当院では片脇ずつの手術しか行っておりません(日帰り手術で保険適応させるには片脇ずつしか手術できません)。また術後2〜3日はタイオーバー固定(綿を塊にしたものを、皮膚にかけた糸で縛って圧迫を行う固定)をするため、患肢挙上禁止・入浴シャワー浴も禁止と厳しい安静度を設けさせて頂いております。少しでも合併症を減らすためですのでご理解下さい。「重度の腋臭症」の場合は保険適応が可能です。

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